Wake-on-LAN(WoL)の設定方法|スマホから自宅 PC を遠隔起動する手順
Wake-on-LAN(WoL)とは: 電源 OFF 状態の PC や NAS を、ネットワーク経由の特殊なパケット(マジックパケット)で起動する仕組みです。 「外出先からノート PC で操作したいデスクトップ PC を起こす」「省電力のために普段オフにしている NAS を必要なときだけ起動」といった用途で使えます。
Wake-on-LAN の仕組み
PC の電源を完全に切っても、LAN カードと電源の一部だけはわずかに電力が供給される スタンバイ状態 になっています。 LAN カードはこの状態で「マジックパケット」と呼ばれる特殊な通信を待ち受けており、これを受信すると PC 全体を起動します。
[スマホ] → 「起動して!(マジックパケット)」 → [LAN カード] → 起動信号 → [マザーボード] → 電源 ON
マジックパケットには起動したい機器の MAC アドレス が含まれており、そのアドレスを持つ機器だけが反応します。
Wake-on-LAN を使う準備
準備 1: 機器が WoL に対応しているか確認
ほとんどの PC のマザーボードと NAS は WoL に対応していますが、念のため確認してください。 モバイル機(ノート PC)は対応していないことが多いです。
準備 2: BIOS/UEFI で WoL を有効化(PC の場合)
- PC の電源を入れて起動直後に Delete キー / F2 キー などで BIOS/UEFI 画面に入る
- 「Power」「ACPI」「Wake on LAN」「EuP」などのメニューを探す
- 「Wake on LAN」または「Power On By PCI-E」を Enabled に変更
- 「EuP(省電力規格)」が有効だと WoL が動かない場合があるので Disabled に
- 保存して終了
メーカーやマザーボードによって設定項目の名前が異なります。マニュアルを確認してください。
準備 3: OS の電源設定(Windows の場合)
- 「デバイスマネージャー」を開く
- 「ネットワークアダプター」→使用中の LAN カードを右クリック→「プロパティ」
- 「電源の管理」タブで以下にチェック:
- このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする
- Magic Packet でのみ、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする
- 「詳細設定」タブで「Wake on Magic Packet」を Enabled に
準備 4: 高速スタートアップを無効化(Windows のみ)
Windows 10/11 のデフォルトの「高速スタートアップ」が有効だと、シャットダウン後に WoL が機能しないことがあります。
- 「コントロールパネル」→「電源オプション」
- 「電源ボタンの動作を選択する」→「現在利用可能でない設定を変更します」
- 「高速スタートアップを有効にする」のチェックを 外す → 保存
準備 5: ルーターでブロードキャストの設定
WoL は通常「ブロードキャスト」(同じネットワーク内全員への送信)で動作します。 家庭内 LAN で同じネットワークの場合は問題ありませんが、外部から WoL を使いたい場合 はルーターでブロードキャストパケットの通過設定が必要になります(後述)。
マジックパケットを送る方法
方法 1: 同じネットワーク内から(スマホアプリ)
家庭の WiFi に接続した状態でスマホから送る方法が最も簡単です。
おすすめアプリ:
- iOS: 「Wake on LAN」(無料アプリが複数)
- Android: 「Wake on LAN」(Mike Webb 製などが定番)
設定:
- アプリで「機器を追加」
- MAC アドレス(対象機器の MAC) と IP アドレス(対象機器の IP)を入力
- 「Wake」「Send」ボタンで起動
→ 機器の MAC アドレスはMAC アドレスの記事を参照
方法 2: PC から(コマンドライン)
Windows 10/11 の PowerShell では標準コマンドがありませんが、フリーソフトの「WakeMeOnLan」(NirSoft)などが定番です。
Mac/Linux では wakeonlan コマンド(Homebrew でインストール可)が使えます:
wakeonlan AA:BB:CC:DD:EE:FF
方法 3: 外出先から(VPN 経由)
外出先から自宅 PC を起こすには、自宅にいるのと同じネットワークに「VPN 接続」してから WoL を送るのが安全な方法です。
- WireGuard
- Tailscale
- ルーター内蔵 VPN(NEC・ASUS の一部)
VPN なしで WoL を送る方法(ルーターでブロードキャストを通すなど)もありますが、設定が複雑かつセキュリティ上の懸念があるため、VPN 経由を推奨します。
NAS の Wake-on-LAN
Synology・QNAP の NAS は WoL に対応しており、管理画面から有効化できます。
Synology の例:
- 「コントロールパネル」→「ハードウェアと電源」
- 「全般」タブ → 「Wake on LAN を有効にする」にチェック
- 保存
その後、上記のスマホアプリ等から NAS の MAC アドレス宛にマジックパケットを送れば NAS が起動します。
省電力のために普段は NAS をシャットダウンしておき、必要なときだけ起動する運用ができます。
起動を確認する方法
マジックパケットを送った後、対象機器が起動したかを確認するには:
- ping を打つ:
ping 192.168.1.50
起動して LAN に繋がれば応答が返ってきます。
- スマホアプリで「ping テスト」機能を使う
ping への応答開始から OS のログイン画面まで通常 30 秒〜1 分かかります。
よくある質問
Q. マジックパケットの「マジック」とは?
A. パケットの中に対象機器の MAC アドレスを 16 回繰り返した特殊な並びが入っているため「魔法のパケット」と呼ばれています。LAN カードはこのパターンを検出して反応します。
Q. WiFi 経由で WoL は使える?
A. WiFi 経由の WoL(WoWLAN) は対応機器がまだ少なく、有線 LAN 経由が確実です。 ノート PC・スマートフォンには WoL が実装されていないことがほとんどです。
Q. WoL がうまく動かない
A. 次の点を確認してください。
- BIOS で WoL が有効になっているか
- Windows の「高速スタートアップ」を OFF にしたか
- LAN カードの電源管理設定が「Magic Packet で起動」になっているか
- マザーボードのスタンバイ電源(待機電力)が供給されているか(コンセントを完全に抜くと機能しません)
まとめ
- WoL は LAN 経由で電源 OFF の機器を起動できる仕組み
- 設定には「BIOS で有効化」+「OS の電源管理で有効化」が必須
- スマホアプリから MAC アドレス指定でマジックパケットを送る
- 外出先から使うときは VPN 経由が安全
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