TCP/IP とは|4 階層モデルで理解するインターネットの基礎
TCP/IP とは: インターネットを支える通信規格の総称です。「TCP」と「IP」は別物のプロトコルですが、セットで使われるため一括りに呼ばれます。実際にはこの 2 つだけでなく、UDP・ICMP など多くのプロトコルがまとめて TCP/IP プロトコル群と呼ばれます。
TCP/IP 4 階層モデル
OSI 参照モデル(7 階層)に対して、実装ベースの TCP/IP モデルは 4 階層 で整理されます。
| 層 | 名前 | 主な役割 | 代表プロトコル |
|---|---|---|---|
| L4 | アプリケーション層 | アプリの通信ルール | HTTP・HTTPS・DNS・SMTP・FTP |
| L3 | トランスポート層 | 端末間のデータ転送 | TCP・UDP |
| L2 | インターネット層 | ネットワーク間の経路選択 | IP・ICMP |
| L1 | ネットワーク インターフェース層 | 物理的な伝送 | Ethernet・WiFi |
(OSI モデルとの対応はOSI 参照モデル記事を参照)
通信の流れを家庭の例で
ブラウザで https://google.com にアクセスしたとき、TCP/IP の各層で何が起きているかを追ってみます。
送信側(あなたの PC)
[アプリ層] HTTP リクエスト「GET / HTTP/1.1」を作る
↓ (TCP に渡す)
[トランス層] TCP がデータを分割・順序番号付き
↓ (IP に渡す)
[インター層] IP が「宛先 142.250.196.78」を付ける
↓ (Ethernet/WiFi に渡す)
[インタフェース層] WiFi 電波として送出
受信側(Google のサーバー)
[インタフェース層] 電波 → デジタル信号 → Ethernet フレーム
↑
[インター層] IP ヘッダから「自分宛だ」と判定
↑
[トランス層] TCP が分割パケットを順番通りに組み立て
↑
[アプリ層] Web サーバーが HTTP リクエストとして処理
各層で「ヘッダ」が付与・剥がされることで、層をまたいだ通信が成立します。
TCP と UDP の違い
トランスポート層の主役は TCP と UDP です。
TCP(Transmission Control Protocol)
信頼性重視のプロトコルです。 通信の途中でデータが欠けたり順序が入れ替わったりしないように、以下を保証します。
- データを順番通りに届ける
- 紛失したパケットを再送する
- 受信側が処理しきれないとき送信ペースを落とす
代わりに、これらの確認のためのやり取りで 若干の遅延 が発生します。
使われる場面:
- Web ブラウジング(HTTP/HTTPS)
- メール(SMTP/POP3/IMAP)
- ファイル転送(FTP・SCP)
UDP(User Datagram Protocol)
速度重視のプロトコルです。 信頼性の確認をしない代わりに、低遅延でデータを送れます。
- データの順序は保証しない
- 紛失しても再送しない
- 受信側の負荷も気にしない
使われる場面:
- DNS(高速な名前解決)
- 動画・音声ストリーミング(多少の欠落より遅延なしの方が重要)
- オンラインゲーム
- VoIP(IP 電話)
比較表
| 項目 | TCP | UDP |
|---|---|---|
| 信頼性 | 高い(再送あり) | 低い(再送なし) |
| 速度 | 中程度 | 速い |
| データの順序保証 | あり | なし |
| 主な用途 | Web・メール・ファイル転送 | 動画・音声・DNS |
IP(Internet Protocol)の役割
IP は「データをどの宛先 IP に届けるか」を決めるプロトコルです。 郵便でいう「住所」の管理を担当します。
IPv4 と IPv6
| 項目 | IPv4 | IPv6 |
|---|---|---|
| アドレス長 | 32bit | 128bit |
| アドレス数 | 約 43 億 | 事実上無制限 |
| 表記例 | 192.168.1.1 | 2001:db8::1 |
| NAT の必要性 | 必要(アドレス枯渇のため) | 不要 |
家庭の IPv6 対応についてはIPv6 IPoEを参照してください。
ポート番号とは
TCP / UDP の通信は 「IP アドレス + ポート番号」のセット で行われます。 ポート番号は 0〜65535 の数字で、用途ごとに「予約番号」が決まっています。
| ポート | プロトコル | 用途 |
|---|---|---|
| 80 | HTTP | Web(非暗号化) |
| 443 | HTTPS | Web(暗号化) |
| 25 | SMTP | メール送信 |
| 53 | DNS | 名前解決 |
| 22 | SSH | リモート接続 |
| 21 | FTP | ファイル転送 |
ポート開放(ポートフォワーディング)はこのポート番号を指定して、ルーターの外から内側の機器へ通信を通す設定です(ポート開放の手順参照)。
TCP/IP のデバッグに使えるツール
家庭でも使えるネットワーク確認ツールです。
ping(L3 ICMP)
「宛先に届くか」「応答時間はどれくらいか」を確認します。
ping google.com
tracert / traceroute(L3 ICMP)
「経由するルーターをすべて表示」します。
tracert google.com # Windows
traceroute google.com # Mac/Linux
netstat / ss(L4)
現在開いている TCP/UDP の接続を一覧表示します。
netstat -an # Windows/Linux/Mac 共通的に動く
よくある質問
Q. TCP/IP の「IP」と IP アドレスの「IP」は同じ?
A. 同じです。IP アドレスは「Internet Protocol で使うアドレス」のことで、TCP/IP の「IP」と完全に同じです。
Q. HTTP/3 は TCP を使わないと聞いたが?
A. HTTP/3 は TCP の代わりに QUIC(キュイック) という新しいプロトコルを使い、その上で動作します。QUIC は内部的に UDP の上で構築されており、TCP の信頼性 + UDP の速度の両方を目指した次世代プロトコルです。
まとめ
- TCP/IP は 4 階層モデルでインターネットを実現する通信規格群
- TCP は信頼性重視・順序保証、UDP は速度重視・再送なし
- IP は「どこに届けるか」、ポート番号は「どのアプリケーションに渡すか」を決める
- 家庭でも ping や tracert で通信を確認できる
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