NAS の RAID 種類|RAID 0・1・5・10 を初心者向けに解説
結論先出し
- 家族の写真・動画を守りたい → RAID 1
- NAS の容量を最大限使いたい → RAID 0(ただしバックアップ必須)
- 3 本以上の HDD で効率よく保護したい → RAID 5
- 「RAID はバックアップではない」を必ず覚えておく
RAID とは何か
RAID(レイド / Redundant Array of Independent Disks)は、複数の HDD を組み合わせてひとつの記憶領域として扱う技術です。目的は大きく 2 つです。
- 信頼性の向上: HDD が 1 本壊れてもデータを失わない
- 速度・容量の向上: 複数 HDD を束ねてパフォーマンスを上げる
NAS を購入したときに「RAID 設定をどうするか」を聞かれますが、仕組みを知らないまま選ぶと後悔することがあります。主要な RAID 種類を比較します。
RAID の種類
RAID 0 — 速度・容量最大。でも壊れたら全滅
2 本の HDD にデータを半分ずつ分散して書き込む方式です。
[データ A の前半] → HDD1
[データ A の後半] → HDD2
特徴:
- 2 本の HDD を合算した容量が使える(4TB + 4TB = 8TB)
- 読み書き速度が上がる
- HDD が 1 本でも壊れると全データが失われる
家庭での用途: 動画編集の一時作業領域など、失っても困らないデータ向け。 家族の写真など大切なデータには絶対使わないでください。
RAID 1 — ミラーリング。家庭の写真保管に最適
2 本の HDD にまったく同じデータを書き込む方式です。
[データ A] → HDD1 と HDD2 の両方に同時書き込み
特徴:
- 片方の HDD が壊れてももう片方が生きているのでデータは消えない
- 使える容量は 2 本分の半分(4TB × 2 = 使えるのは 4TB)
- 読み取り速度は若干速くなる場合がある
- 書き込み速度はほぼ変わらない
家庭での用途: 家族の写真・動画の保管には RAID 1 が最もわかりやすい選択です。 Synology・QNAP の 2 ベイ NAS でセットアップウィザードを使えば 10 分程度で構成できます。
RAID 5 — 効率と冗長性のバランス型
3 本以上の HDD を使い、データと「パリティ(誤り訂正情報)」を分散して書き込む方式です。
[データ A の一部] [データ A の一部] [パリティ]
→ HDD1 → HDD2 → HDD3
特徴:
- HDD が 1 本壊れても残りの HDD からデータを復元できる
- 使える容量は「(HDD 本数 − 1) × 1 本の容量」(3 本 × 4TB = 8TB が使える)
- 3 本以上必要なため、2 ベイの NAS では使えない
家庭での用途: 4 ベイ以上の NAS で写真・動画を大量に保管したい場合。 容量効率が RAID 1 より良いですが、HDD が 1 本壊れた後に別の HDD も壊れると全滅するリスクがあります。
RAID 10 — RAID 1 + RAID 0。速くて冗長性も高い
RAID 1 と RAID 0 を組み合わせた方式です。最低 4 本の HDD が必要です。
[ミラーペア 1]: HDD1 ↔ HDD2
[ミラーペア 2]: HDD3 ↔ HDD4
→ ペア間でストライピング(RAID 0)
特徴:
- 各ペアの HDD が 1 本ずつ壊れてもデータが守られる
- 読み書き速度が速い
- 使える容量は全体の半分(4 本 × 4TB = 8TB が使える)
- 価格が高い(4 本必要)
家庭での用途: コスト・台数的に家庭向けではなく、主に企業・SOHO 向けです。
比較まとめ
| RAID | 最小 HDD 本数 | 使える容量 | 耐障害性 | 読み書き速度 |
|---|---|---|---|---|
| RAID 0 | 2 本 | 全容量 | なし | 速い |
| RAID 1 | 2 本 | 1/2 | 1 本まで故障OK | 読み: やや速い |
| RAID 5 | 3 本 | (N-1)/N | 1 本まで故障OK | 読み: 速い |
| RAID 10 | 4 本 | 1/2 | 各ペアで1本ずつ | 速い |
絶対に覚えておくべき注意点
「RAID 1 にしたからバックアップ不要」は間違い
RAID 1 は「HDD が壊れたときの保護」です。 以下の状況では RAID 1 でもデータは失われます。
- 誤ってファイルを削除した → 両方の HDD から消える
- ランサムウェア(身代金ウイルス)に感染した → 両方の HDD が暗号化される
- NAS 本体が火災・水害で壊れた → 両方の HDD が物理的に失われる
大切なデータは RAID に加えて、外付け HDD へのバックアップ + クラウドバックアップ の 3-2-1 ルール(3 か所・2 種類のメディア・1 つはオフサイト)が理想です。
HDD が壊れたらすぐに交換する
RAID 1 や RAID 5 で HDD が 1 本壊れても「まだ動いているから大丈夫」と放置するのは危険です。 壊れた状態のまま使い続けると、残りの HDD にも余計な負荷がかかります。 アラートが出たらなるべく早く交換してください。
家庭向けの選び方
| 状況 | 推奨 |
|---|---|
| 2 ベイ NAS で写真・動画を保管したい | RAID 1 |
| 2 ベイ NAS の容量を全部使いたい(バックアップ別途取る) | RAID 0 |
| 4 ベイ NAS で容量効率よく保護したい | RAID 5 |
| RAID を設定せずシンプルに使いたい | JBOD(個別ドライブ) |
よくある質問
Q. RAID を後から変更できる?
A. Synology の SHR(Synology Hybrid RAID)など一部の製品は後から変更できますが、一般的な RAID は構成変更にデータの移行作業が必要です。最初に目的を決めてから構成してください。
Q. SHR(Synology Hybrid RAID)とは?
A. Synology 独自の RAID 方式です。容量の異なる HDD を組み合わせても効率よく使えるよう工夫されており、家庭向け Synology NAS のデフォルトです。機能的には RAID 1 や RAID 5 に近い動作をします。
まとめ
- 家庭の大切なデータには RAID 1 が最もわかりやすく安全
- RAID はバックアップではない。別途バックアップを取ること
- HDD が壊れたらアラートをすぐに確認して交換する
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